技術ノート
第2回 ロールアイロナーの謎

■ロールの不思議な現象あれこれ

クリーニング業界では広くロールアイロナーが使用されています。
もちろんロールの使命はシーツ等をしわ無くパリっと仕上げる事です。
しかし、構造の違いや使用環境で不思議な現象をおこします??
素朴な事は意外と忘れがち、不思議な現象を理屈を含め考えてみましょう!

■ロールの種類と特徴

チェスト型ロールアイロナー(ロールの代表選手)

  • 強み:アイロニング効果最高、仕上がり良好
  • 弱み:リネンの飲み込み、蒸気消費多い、ユーティリティーに性能左右され易い

100年以上の歴史を持つロールアイロナーで、仕上がり品質最高です。 しかし構造上、不思議な事をよく起こします。

カレンダー型ロール(日本では重宝しています)

  • 強み:蒸気消費少ない、乾燥性能良好(仕上げの意では無い)、簡単、浴衣OK
  • 弱み:アイロニングされない、リネンの腰が出ない、部品が多い

日本では文化の違いもあり、多くの工場で重宝されています。特に浴衣の処理には定評があります。
しかしアイロニングされないため、品質はチェスト式より落ちますが、使い勝手が簡単で良い。

複合型ロールアイロナー(日本独自の機械)

  • 強み:程良い仕上がり、乾燥性能良好、オールマイティ
  • 弱み:部品点数多く複雑

チェスト式とカレンダー式を合体した機械。従って、両者の強みと弱みを合わせ持っています。

しかし、チェスト式の仕上げに、カレンダー式の高乾燥性能を合わせ持つインテリジェントな機械。
オールマイティで、仕上げが品質が良好。

■不思議で不思議

仕上げるとしみが!!

洗浄後のリネンはとってもきれい、しかしロールに通すと大きい模様のしみが!!
明らかにすすぎ不良です。60℃以上でもう一度すすぎをすれば解消するケースが殆どです。
前日洗浄が終わりワゴンに、そして翌日仕上げた場合にもこのトラブルが意外と...。

チェストはきれいなリネンが大好き!!

特にチェストはリネンに残存している不純物に弱く、リネンがスムースに流れなかったり、チェストを傷めます。隣にある機械はノートラブル、この機械ばかり...。
隣にあっても、同じ洗浄されているリネンとは言えません。チェスト部分のトラブルの90%は洗浄にあると言っても過言ではありません。

浴衣やガウンの襟内側三角部分にしわが!!

浴衣の得意なカレンダーでも縦しわが出てきます。
これは襟(四重から七重)は複数重ねと厚くなっており、これに比較し、三角部分はせいぜい三重で薄いので、乾燥速度の違いと糸のつりでしわが出来ます。
一旦付いたしわは洗浄で柔軟になりますが、同じパターンでまた出来ます(一回プレスで取るとあら不思議)。
これに比較しチェスト式はプレス圧が確保され、発生し難いと言えます。

ロールは特殊なリネンが嫌い!!

最近、混紡比率の極端リネンやユニークな織りの特殊なリネンが登場しています。この特殊なリネンが飲み込みやしわ、折れ等のトラブルを起こすケースがあります。
これは理屈ではありません、充分注意が必要です。
前夜の検討明日への勝利! 違いました...テストで評価するのが良いと思います。

■まとめ

チェスト式は仕上がり最高ですが、一般的には気難しいと言われます。その由縁たるポイントは飲み込み部分と洗浄を指摘される人が多いです。
その点カレンダー式は使い勝手が良いと言うか、メンテにルーズでも良いと言うか...また中間の複合型も良い所取りの機械はベリーグ、でも悪い所取りの機械もあります。

ロール(機械)は正直です。基本に忠実に使えば問題の出る機械はありません。はい!!

共栄産業