異業種とのコラボレーション
第1回 ガソリンスタンド(前編)

「コラボレーション」という言葉、最近多く聴くようになりました。例えば、ミュージシャンやアーティストがコラボレーションして互いの能力を引き出し、今までにない作品を創り出すなど。お互いに響きあい共同作業、業務協力することを意味しています。

このコラボレーションをクリーニング業の販売促進に活かそう、というのがこの特集の意図。目的は、「クリーニング需要の拡大」です。眠っているクリーニング需要を掘り起こし、新たな需要を掘り当てるヒントになればと思います。

さて、消費者の購買意欲とは面白いもので、既存の商品・サービスの形を変える、見せ方を変えることで購買意欲が高まる場合があります。

クリーニングの購買意欲とは「クリーニング・サービスを利用してみたくなる」気持ちのことです。例えば、欲しかったブランドのスーツを手に入れれば「クリーニングして大切に着続けたい」という新たな購買意欲が生まれます(=新たな需要)。また、そのスーツの風合いが良くなる加工があると知れば、購買意欲が高まります。その加工が割引料金で利用できたり型崩れまで防げると知ったら、さらに購買意欲は高まります。

販売促進とは、お店からアピールして購買意欲を引き出し高める営業活動です。割引セールや金券プレゼントなどは「利益の還元」という販促で、クリーニング業界では一般的です。しかし、利益の還元がクリーニング・サービスの中で完結するので、当然ながらクリーニングの購買意欲が低くなると販促効果が下がります。単純に続けると「割引分は元から料金に上乗せしてあるのでは・・・」と飽きられてしまいます。

そこで、クリーニング利用での「利益の還元」が異業種の商品・サービスとして受けられるようにすると、購買意欲が高まります。例えば、クリーニングを利用するとガソリン給油にも使える割引券・金券がもらえる販促です。

また、その逆ルートも考えられます。つまり、ガソリンを給油するとクリーニング・クーポン券がもらえる、など。これはガソリンスタンドの顧客にクリーニング利用をアピールすることにもなり、お互いの商売において新規顧客(新しい需要)を獲得できるチャンスにもなるのです。

ただし、他店の利用客に自店で利益還元する仕組みはお互いの信頼関係は元より、「相手の(自分の)メリットは何か」を明確にして約束事を決めておかないとトラブルになります。次回、ガソリンスタンドとのコラボ企画について、具体的な進め方を説明いたします。

クリーニングショップしろねこの事例

コラボ

「汗をかいたらクリーニン、ぐ~!
  クリーニングでガソリンもらっチャオ♪」
  • 7月1日~8月31日まで
  • 利用金額500円毎に100円のガソリン購入券プレゼント
  • 購入券だけで給油できます

※ワイシャツは除く
※給油は指定ガソリンスタンドで
※金券の有効期限は9月30日まで

大手ショッピングストアの事例

コラボ

「もれなく全員にガソリン割引券プレゼント」
  • 緊急企画 ○月○日~○日(1週間)
  • 期間中のお買い上げレシートの合計金額5,000円以上
  • 1リットル当たり10円引きの割引券(最大50リットルまで)

※割引券のプレゼントは2枚まで
※給油は指定ガソリンスタンドで
※給油時、他の割引券との併用不可
※お買い上げ対象外の商品は専門店、自動販売機、商品券、金券、その他一部の商品
※割引券の有効期限は1カ月間

【著者】岸 和浩

有限会社ブルースパイス代表取締役・コーディネーター。

業種を問わず、営業部門の販売促進、各種団体の広報と製造部門の合理化について企画・提案を行い、その制作と実施をサポート。クリーニング業界では新機軸の販促システムの提供をはじめ、専門新聞紙上に数々の連載を発表しているほか、二世の経営を考える広場『リレーズ・プラザ』の事務局としての活動も行っている。

ブルースパイス