年頭所感

一般社団法人 日本テキスタイルケア協会

代表理事 住連木 政司

住連木代表理事

 当協会は創設10年目を迎えます。当協会の目的は、「繊維製品の品質維持・復元技法」によって服飾文化に貢献するという未来志向の新産業の創造を提唱するものです。

 社会的にクリーニング業とは繊維製品の「汚れを落とす」産業であると理解されています。しかし作業の現場では、単に汚れを落とすだけではなく、退色した製品の部分について「色掛け」として部分染色を研究し施している場合があります。また、縫製の損傷している部分については、「補修」や「加工」を行っているケースもあります。これらの、製品個々に対する特殊な技術を要する作業は、多くの場合無償か「トッピング」といった程度の商品価値を得ているに過ぎないのではないでしょうか。あくまでも、クリーニングを本業とし、それ以上の高度な個別サービスというべき「繊維製品の品質維持・復元技法」の価値を業者自身が正当に評価していないといえます。

 近年、「サステナブルファッション」というビジョンからリペア(補修)、メンテナンス事業に取りくむ大手アパレル企業が急速に増加しています。その料金表を見れば、労働や技術に対応した適正な料金が設定されているように感じられます。

 当協会が2015年7月に経済産業大臣に対して照会した事案に対して、経済産業省は「繊維製品の品質維持・復元技法に係る取扱いが明確になりました」と題して「衣類整形仕上げサービス、衣服染色サービスについては、洗たく物の処理を含まない繊維製品等への加工処理サービスのみが提供されることからクリーニング業には該当しない」と公表しました。

 当協会としては、「繊維製品の品質維持・復元技法」を「クリーニング」業とは区別し、あるいは並立した高付加価値の「テキスタイルケア業」の社会的確立を目指して繊維知識、整形仕上げなどの復元技法の普及向上のためにインターネット、ウェビナーによる活動を推進し続けていきます。

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