年頭所感

日本クリーニング用洗剤同業会

会長 藤井 一

藤井会長

 謹んで新年のお慶びを申し上げます。日頃より当会の活動に多大なるご支援とご協力を賜りまして誠にありがとうございます。

 昨年は5月に新型コロナウィルスが5類に移行となり、日常の生活が徐々にコロナ前に戻ってまいりました。これに伴い経済活動もコロナ5類移行後は回復へ向けた動きへ舵を切り、経済を回す方向へのギアチェンジが顕著となりました。しかし、ロシアによるウクライナ侵攻は終息が見えず、その後イスラエルとパレスチナ自治区ガザとの戦闘も勃発する等、地政学的なリスクはむしろ増大しており、原料および食料調達への影響も注視が必要です。また、これまで世界経済を牽引していた中国ですが、国内大手不動産業者のデフォルトが発生するなど、大きく減速している点も今後の懸念材料かと思料します。

 国内を見ますと、景気は回復途上であり低金利政策を継続しています。一方欧米は、インフレ抑制が大きな課題で金利を継続して上げております。内外金利差が拡大することで今後も円安の進行が想定され、より一層の原料の値上げや外国人労働者の減少による更なる労働力不足が深刻化する可能性があります。また、最低賃金も上昇しており、この状況下で当会がどのように対応していくかは大きな課題であります。

 次にクリーニング業界の状況についてですが、5月のコロナ5類移行後 回復傾向にはありますが、コロナ前の状況には遠く及びません。今後も厳しい状況が継続すると思われますが、業界全体で新需要の開拓、生産性の向上を検討し、当会としてもできることを提案してまいります。

 テキスタイルリネンサプライ(ホテルリネン、病院寝具、ダストコントロール、ダイアパー)、おしぼり、施設ランドリー等の市場ですが、特にコロナの影響を大きく受けたホテルリネン、おしぼりに於いてインバウンドの増加や自粛蔓延からの転換による人流の回復等フォローに転じ、売上高の回復は顕著となっております。一方で円安進行、紛争の長期化と勃発の影響等による原料、水道光熱費の高騰と労働力不足が、収益面での回復の足かせとなっており、一層の省人・省力化と生産性の向上が求められております。

 当洗剤同業会の2023年上半期出荷統計は前年比514トン減で96.9%と厳しい実績となりました。洗剤の濃縮化や自動投入の進展等の要因はありますが、厳しい環境が継続しております。当会としましても、クリーニング業界とともに回復へ向けた諸施策を探ってまいりたく存じます。

 本年の皆様のご繁栄とご健勝をご祈念申し上げ、年頭の挨拶に代えさせていただきます。

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