全国クリーニング協議会
会長 髙木 健志
明けましておめでとうございます。
関係各位の皆さまには、かつてない心もちで新しい年をお迎えになられたことと存じます。
昨年を振り返りますと、2月中旬以降、新型コロナウイルスの感染拡大によって、経済・社会・日常生活にいたるまで、すべてが一変してしまいました。そのコロナ禍において、特に経済に目を向けた時、特徴的なのは業種・業態によって、成長し続けているところと、かたや立ち直ることもできないくらいダメージを被ったところまで、ある意味で天と地ほどの格差が生まれているという現実です。前者で言うと、キーワードとして「巣ごもり」「安心・安全・衛生」「リモート」に代表されるような商品やサービスを市場の中で展開しているところがあてはまるのではないでしょうか。逆に後者をあげると、「外食」「観光」「衣料品」「娯楽」などを業としておられるところは、必死に耐え続けておられると聞いています。これらのことからも、消費マインドとしては明らかに“自分でできることは自分で処理・対応する。”にシフトしています。そして、その拠点が「家庭」へと移行し、あらゆる行動が身近になっているのではないでしょうか。
クリーニング業界も、春のシーズン期を迎えようとしていた矢先にコロナ禍に陥ったことで、前述の通り消費者の生活様式が大きく様変わりし、我々を取り巻く環境は一気に苦境に立たされる状況になりました。
今年は、国内経済全体を俯瞰で見ても相当厳しい1年になりそうです。それというのも、ステイホームの言葉に代表されるように「むやみに動かない」というマインドが根付いている現状では、家庭内で消費するものについては伸びていくことが期待できるところなのですが、外に向けての消費意欲が活性化に向かっていくのは難しいとされているからです。
あるデータ会社が、今のコロナ禍における「おうち時間に関する調査」結果を発表していましたが、その中で「家では何をすることが多いか」の設問に対する回答としては「料理」「掃除」が多かったのですが、 4番目に「洗濯」がランクインしていました。着用した衣類はできるだけ家庭で洗う(言い換えれば、家庭で洗える衣類を着る)即ち、我々の業界に持ち込まれる点数が明らかに減る、ということを意味しているのではないかと考察します。現に、クリーニング業界全体で昨年は一昨年に比べ20%強の減がデータとしても示されています。
明るい話題が本当に少なかった昨年ですが、その中で将棋界のニュースター誕生は嬉しいニュースとなりました。藤井聡太8段は、王位戦や棋聖戦を制し、これまでに15以上の最年少記録を塗り替えるなど、天才と呼ばれるにふさわしい活躍が続いており、今まで将棋にあまり興味のなかった人達にも関心を向けさせる魅力も持ち備えています。いつの時代でも、どの分野でも、秀でた才能を持った人財が新しく出てくることは、人々に興味を与え意識が変わり、それが夢・希望へと繋がっていきます。将棋の世界だけではなく、クリーニング業界に身を置く我々としても常にチャレンジ精神を忘れず、勇気を持って新しい取り組みを通じて業界の再生をかけて、この極難状態を乗り切らなければならないと捉えています。
厳しい現実をしっかりと受け止めた上で、春シーズン期においては今まで当たり前(業界の常識的なやり方)だった販促方法は変えていかなければ生活環境とのギャップに適応できなくなるという認識に立ち、改めて足元を見つめ直し、どのように取り組むかを検証し、この業として生き残るためにお互いに知恵と情報を共有しながら、業界維持のため迅速に行動していかなければなりません。
当協議会の運営にお力添えをいただきながら、外国人三年制度の確立と共に将来を見据えたご協力を切にお願い申し上げます。